自由エネルギー最少の原理


物体は、固体・液体・気体のような特徴的な構造を持った相を示す。

それでは、一つの系が、ある温度でどのような相を選択するかを考えよう。

まず、物質が状態変化するとき、どんな傾向に支配されるだろうか。それは大きく以下の2つだ。

  1. 力学エネルギーを最少化する:
    系を構成する粒子はランダムな衝突・相互作用の過程で、温度や圧力が一様な状態に落ち着いていく。分子間ポテンシャルを思い出そう。分子の近傍には分子間ポテンシャルが最少になるところがある。隣合う分子同士は、このポテンシャルエネルギー最少の位置にいれば、運動エネルギーを失っていくときに、全エネルギーが可能な限り最少になることができる。この時粒子は規則正しい配置をとり、系の秩序が増加する。固体結晶がいい例だ。
    物体が低温では規則正しい構造を持った固体になることは、力学的エネルギーを最少にする傾向があることを意味する。
    力学エネルギー最少化の傾向とは、秩序化・安定化の傾向といって良い。
  2. エントロピーを最大化する:
    多数の粒子からなり、多数の運動自由度がある系では、吸収したエネルギーを多数の自由度に分配して、ますます運動がランダムになり、無秩序になる傾向がある。多数粒子系で、外からエネルギーを与えると、エネルギーをもらった粒子はランダムな衝突・相互作用の過程で、他の粒子にエネルギーを分配していく。このため、粒子の運動は一様で、しかもランダムな状態に移行する。この極限が熱平衡状態である。
    エントロピー最大化の傾向とは、無秩序化・自由化の傾向である。

この2つの傾向を同時に最大限に満足することはできない。しかし、両方とも、常に存在する自然に備わった傾向である。そこで、状態に応じて、バランスの取れた妥協点を探すことになる。

系のエネルギーを E、エントロピーを S、絶対温度 T とするとき、ギブスの自由エネルギー F は次のように書かれる。

DEF_FENE.GIF (281 バイト)

系はこの自由エネルギーが最少になるような相を選ぶのだ。

系のエネルギーが小さくなる場合にも、エントロピーが大きくなる場合にも、上の自由エネルギーは小さくなる。そして、ここに温度 T が入っているのがポイントなのだ!


未完