シラバス 物理学  2008春 月・木   (授業予定は進行状況によって随時修正します)

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e-Learning サイト→http://nkiso.u-tokai.ac.jp/EPEL/PhysElearning.html
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コンセプト

力学の基本的な概念と科学技術を学ぶ上でぜひ押さえておきたい最も初歩の数理的技術を学びます。慣性と力、エネルギーの概念はすべての科学技術で共通的の基礎概念であり,かつ物理学で最も精密かつシンプルに定義されます。これらの概念をあいまいな感覚的な認識から明瞭なものにできるようにしてください.演習を通じて初等的な数理的運用の練習を行います.初歩を丁寧にやります.力を確実なものにしてください.

この授業では,実験室での授業と,e-Learningによる自学自習とをあわせて行います.

学習の目標

全般:有効数字や代数式の取り扱い、単位、科学表記の確実な数値計算などの本当に必要な基礎力を養います。第1段階:変位・速度・加速度を身につけます.第2段階:力と運動を理解します.第3段階:仕事とエネルギーの初歩的な計算ができるようにします.

教科書

基礎物理学 原康夫著 学術図書出版

学内専用資料

←沼津校舎のLAN内限定の学習資料です.物理学の入門に役立ちます.
 
Date 内容 Date 内容
08/4/10 e-Learningガイダンス 08/6/2

中間試験(変位・速度・加速度)

08/4/14 科学表記
ポイント:物理量の次元は、量の性質の違いを表す。異なる次元の量の積・商で新たな概念の量を作ることができる。物理量は数値×単位量の形式で書かれ、物理量の基準になるのが単位量である。
08/6/5

ニュートンの運動の第3法則「作用・反作用の法則」
ポイント:力は2つの物体間で及ぼし合う。物体A,Bの間で力を及ぼし合うとき、AがBに及ぼす力は、BがAに及ぼす力と、大きさが等しく向きが反対である。この基本法則をもとに、物体に作用している力の源泉を確認する。作用・反作用と力の釣り合いとは似ているが全く別。一つの物体に複数の(物体からの)力
が作用するのが力の釣り合い。

08/4/17 SI単位
ポイント
:国際的に共通に用いられる単位がSI単位。単位と組みで用いられる10のべきの呼称がSI接頭語。一つの接頭語と一つの単位の組でひとまとまりとして扱われ、このまとまりの間を・記号で区切る。単位につく指数はこのまとまり全体にかかるので、SI接頭語にもこの指数がかかることを忘れないように。
08/6/9 垂直抗力、摩擦力
ポイント:接触する2物体間で作用しあう押し合う力の、その接触面に垂直な成分を垂直抗力と呼ぶ。斜面などを物体が滑るとき、斜面に沿った運動になる。これを束縛運動と呼ぶ。斜面に沿うために物体に斜面から垂直な垂直抗力が作用する。これは物体の運動方向の力と垂直である。物体と面との間に摩擦力が作用するとき、その摩擦力は物体の運動の向きと反対で、面との間の垂直抗力の大きさに比例する。
08/4/21

有効数字
ポイント
:最小の桁にはじめて曖昧さが現れるように表記した数字を有効数字と呼ぶ。物理量は有効数字で表す。大きな数や小さな数を有効数字で表すためには、少数と10のべきの組み合わせによる科学表記を用いることが必須。

08/6/12 力と仕事、一定の力のする仕事
ポイント:外力が物体にする仕事。仕事は、外力と物体の変位とのスカラー積。ベクトルのスカラー積(内政)は、2つのベクトルの向きがどれだけ同じ向きかを表現する量でもある。力や運動が変化するときの仕事は、瞬間瞬間の微小仕事を運動経路に沿って積分して得られる。
08/4/24 単位の換算
ポイント
:単位換算には次の2種類がある。1. SI接頭語を10のべきに置き換えて単位にかかるべきをかける。2. 同じ量を異なる基準量をもとにして表す場合、分子分母に同じ量を換算する基準量を用いて表した数を配置して全体として1とした数を用いる。1=πrad/180°科学表記の和、差では、10のべきの大きい方をくくりだすことによって、有効数字を正しく扱うことができる。
08/6/16 フックの法則と変化する力の仕事
ポイント:バネなどの弾性体が変形されたとき発生する復元力。向きは変形の向きと逆、つまり変形を戻す向き。バネの場合、バネ定数を k として f = - kx (ただし x が変形、もしくは変位)と書ける。負号は変形 x の増加の向きと f の向きが逆であることを示す。フックの力のする仕事を積分で求めると、W = kx2/2 と書ける。
08/4/28

ベクトル
ポイント:ベクトルは大きさと向きを持ち、大きさゼロのゼロベクトルを定義することによって負のベクトルが得られる。ベクトルの大きさはゼロ以上で、正負の符号は向きに関係する。ベクトルは単位ベクトルの倍数としてあらわされる。任意のベクトルは、直交座標の各軸の正の向きを表す単位ベクトルである基本ベクトルの1次結合で表され、基本ベクトル表示と呼ばれる

08/6/19 仕事と運動エネルギー
ポイント:物体は仕事をされると自ら他の物体に仕事をする能力が増加する。この能力をエネルギーと呼ぶ。物体は外力の仕事により運動エネルギーが増加する(仕事ー運動エネルギー定理)。(外力による仕事)=(運動エネルギー変化量)として運動エネルギーが定義できる。運動エネルギーは物体の質量と速度とで表すことができる。
08/5/1 三角法と弧度法
ポイント:弧度法は円弧で、円の半径と弧の長さが等しいときの弧の見込み角を角度 1 rad とする単位。角度は長さの比なので無次元だが、SI単位では特別に角度の単位として rad を規定している。2次元平面でベクトルの向きを角度で表すときは、tan の逆関数である arctan(ベクトルのy成分/ベクトルのx成分) を用いる。電卓などで計算するとき、ベクトルのx成分が負なら、結果の値に π rad を加える。ベクトルの大きさは、三平方の定理を応用して、((x成分)2+(y成分)2)1/2 となる。
08/6/23 仕事とポテンシャルエネルギー
ポイント:エネルギーを保存するような力を保存力と呼ぶ。保存力による仕事は、物体の運動経路にはよらず、始点と終点の座標だけできまる。(保存力の外力による仕事)=ー(ポテンシャルエネルギー変化分)としてポテンシャルエネルギーを定義する。ポテンシャルエネルギーは、物体の潜在的な仕事をする能力。
08/5/8

位置と変位
ポイント:位置ベクトルは始点を座標原点に、終点を位置座標として、原点から見た位置を表すベクトル。「変位」(ベクトル)は、初期位置を始点、最終位置を終点としたベクトルで、これらの位置の間の「移動」を表す。変位の大きさが「移動距離」。途中の経路に関係なく、初期位置と最終位置を直接つなぐのがポイント。

08/6/26 中間試験(ニュートンの運動の法則、垂直抗力、摩擦力)
08/5/12 速さと速度
ポイント:変位を経過時間(スカラー)で割ったものが「平均の速度」(ベクトル)。速度の大きさが「平均の速さ」(スカラー)。運動を表すために時間の要素の重要性に着目したのはガリレオ。変位と速度は同じ向き。経過時間を0の極限とするとき、速度は位置ー時間グラフの接線の傾きとなり、位置の時間微分として得られる。

08/6/30 ポテンシャルエネルギーと保存力、エネルギー保存の法則
ポイント:ポテンシャルエネルギーの勾配が保存力に対応する。勾配ゼロでは力がゼロ。そこで静止していた物体は静止し続ける。ポテンシャルエネルギー曲線の勾配がゼロでも、谷底は安定平衡状態だが、頂上部の勾配ゼロの点は不安定平衡状態。
運動エネルギー変化とポテンシャルエネルギー変化の和がゼロ。これをエネルギー保存の法則と呼ぶ。
08/5/15

速度と加速度
ポイント:速度変化(=最終速度ー初期速度)を経過時間で割った量が加速度(ベクトル)。加速度は速度の時間変化率である。加速度は速度変化の向きであり、速度の向きとは異なる。経過時間を0の極限とするときの加速度は、速度ー時間グラフの接線の傾きであり、速度の時間微分で表される。

08/7/3 エネルギー保存の法則
ポイント:エネルギー保存法則の応用例。重力のポテンシャルエネルギーを中心に練習。
08/5/19 重力加速度と等加速度運動
ポイント:地表での物体の加速度は物体の質量によらず(ほぼ)一定値 g = 9.8 m・s-2 である。 もともと加速度はベクトルだが、「重力加速度」は地表での重力による物体の加速度の「大きさ」だけを指す。そこで、実際に重力による加速度を表記するときは、鉛直上向き(重力と反対向きという意味)y軸の基本ベクトルを用いて、- g j などと表す。
08/7/7

運動量と力積、撃力
ポイント:「運動の勢い」が運動量。作用反作用の法則は運動量の交換に相当する。外力が作用しないときは運動量は一定を保つ。これを運動量保存法則と呼ぶ。外力が作用すると運動量が変化する。このときの運動量変化分と、力と作用時間の積とが等しい。この積を力積と呼ぶ。瞬間的に作用する力を撃力と呼ぶ。撃力の短時間の作用により、撃力をうけた物体の運動も変化する。

08/5/22 ニュートンの運動の第1法則「慣性の法則」
ポイント:物体の、それ自身の運動の変化に抵抗する固有の性質を慣性と呼ぶ。慣性の尺度は質量。質量が大きいほど物体は運動が変化しにくい。また、物体が一定の速度で運動していると観測できる座標系を慣性系と呼ぶ。慣性の法則を言い換えると、物体が等速直線運動しているように観測できる慣性系が必ず存在する、ということとも言える。
08/7/10

運動量保存の法則
外力が作用していない物体系では、その物体系全体の運動量は一定値を保つ。これが運動量保存の法則。系内部では、物体どうし力を及ぼし合い、1個1個の物体の運動は変化する。しかしその運動量の総和は一定値を保つ。

08/5/26

休講 当日中のe-Learning学習をもって1回の出席とします。

08/7/14 力のモーメントと角運動量
ポイント:回転軸の回りの運動を考える。物体には並進運動の慣性と同様に回転の慣性があり、回転している物体はそのままの回転を維持しようとする(回転の慣性)。物体の回転運動を変化させるのが、物体を回転させる力。これをトルクと呼ぶ。
08/5/29
ニュートンの運動の第2法則「力と加速度」
ポイント:外力の作用と物体の運動を結びつける基本法則。物体の加速度は、正味の外力に比例し、物体自身の質量に反比例する。正味の外力とは、物体に複数の外力が作用している場合は、それらの合力を意味する。物体に作用する外力が釣り合っているときは、正味の外力はゼロとなり、物体の運動は変化しない。物体の加速度の向きは、作用する正味の外力の向きと同じ。
08/7/17(補講 角運動量保存の法則
ポイント:物体の系を回転させようとする外力が作用していなければ、その系全体の回転運動の運動の勢いは変化しない。これを角運動量保存の法則と呼ぶ。日常的にも角運動量保存法則で理解できることが多い。
 

定期試験期間 定期試験(仕事とエネルギー、運動量と力積)
 
授業システム

教室授業は月曜日は2-301物理学実験室で行います。木曜日は最初は3-501コンピュータ実習室で行い、その後2-301物理学実験室で行います。

時間外学習のe-Learning: この授業は,授業時間外の自習に,常時e-Learningを活用していただくことを前提としています。e-Learningを行っていれば自然に試験準備にもなります。e-Learningでは授業で扱う範囲とは別に自主的に広い範囲を学習することも推奨します。e-Learningには分散型反復学習のアドバイス機構があります。これを活用してドリルを反復学習すると効率的に知識が定着します。e-Learningでは(テスト成績だけではなく)学習活動そのものを評価することができます。

成績評価
  1. e-Learningの学習状況全体を、成績評価全体の最大20%まで反映します
  2. 毎回小テストを行います。小テストの得点は成績評価全体の40%分とします。必ず授業に出席してください。なお、e-Learningでは小テストの補充問題を出します。これを解答して提出すれば、採点し、その得点を成績評価に補充します。
  3. 中間試験と定期試験を行います。中間・定期試験の得点の合計を成績評価全体の40%分とします(定期試験が20%分)。なお、定期試験を欠席した人は、他の得点の合計が合格圏に達していたとしても「成績評価不能」となります。