時定数


§1.目的

RC回路(抵抗-コンデンサー直列回路)に交流矩形波電圧をかけ、コンデンサー両端の電圧波形の過渡現象を観測し、回路の時定数を測定する。さらに、時定数がコンデンサーの容量に比例することを確かめる。


§2.実験の原理

抵抗 R(Ω) とコンデンサー C (Fファラッド) の直列回路に直流電圧 E (V) を加える。電圧をかけた瞬間を時刻0とするとき、時刻 t で回路に流れる電流を i (t ) (A)、コンデンサーに蓄えられた電気量を q (t ) (Cクーロン)とする。このとき回路の方程式は次のようになる。

TMCT_1.GIF (381 バイト)

ここで TMCT_2.GIF (348 バイト) (電流は電子の流れ、即ち、荷電量の時間変化の大きさ)であるから、上式は次のような電荷量q (t ) についての微分方程式に書き換えられる。

TMCT_3.GIF (473 バイト)         (1)

(1)式を解くと、q (t )は t に関して以下のような指数関数で表わされることが分かる。

TMCT_4.GIF (614 バイト)

さらに、コンデンサー両端の電圧を ec(t ) とすれば、q (t )=Cec(t ) から、

TMCT_5.GIF (679 バイト)            (2)

という関係式を得る。ここでτをこのRC回路の時定数と定義する。τが大きいほど ec(t ) がその最大値 E になるまでの時間が長くなる。(2)式によれば、時定数は回路の抵抗値と静電容量に比例する。即ち、回路の抵抗が大きいほど、また、コンデンサーなどに誘起される電荷量が大きいほどコンデンサーの充電に要する時間が長くなる。

次に時定数τの測定法を考察する。(2)式において時刻 =τのときのコンデンサー両端の電圧値を考えると、

TMCT_6.GIF (486 バイト)        (3)

を得る。これより、コンデンサー両端の電圧の時間変化を実測して、電圧の最大値 E の0.632倍の電圧に達する時間を逆に求めれば、それがτに等しいことが分かる。本実験では直流電源のスイッチをオンオフする代わりに、回路に交流矩形波を加える。コンデンサーの容量 C を3段階に変えてτを測定し、時定数τの実測値が容量 C に比例することを確かめる。


§3 実験方法

抵抗値 R = 10 [kΩ] の基準抵抗と、静電容量 C = 4.7×10-4 [μF]、1.0×10-2 [μF]、4.7×10-2 [μF] のコンデンサー C を用いて、RC直列回路を組み、オシレータを用いて交流矩形波( E ≒9.8 [V] )を加える。デジタルオシロスコープを用いて、コンデンサー両端の電圧 ec(t ) を観測する。矩形波の周波数は ec(t ) を観察しながらその最大値(平衡値)が充分現れる程度の大きさになるようにオシレータで調節する。デジタルオシロスコープで最大電圧 E の値を測定する。これをもとに、 ec(t ) = 0.632E となる時刻τを画面上で電圧軸カーソルと時間軸カーソルを用いて測定する。波形及びカーソルはプリンタに出力する。最後に、各容量 C での実測時定数τと時定数の理論値RCとをグラフにプロットして、時定数の静電容量に対する比例関係を検討する。

(レポートでは簡単な回路図と装置図を描いて説明すること。)


各コンデンサーに対するオシレーターの周波数設定
コンデンサー容量 入力電圧周波数
4.7×10-4 [μF] 10 kHz
1.0×10-2 [μF] 500 Hz
4.7×10-2 [μF] 100 Hz

@コンデンサー端子電圧の波形グラフの考察

  1. グラフに(2)式の理論曲線を書き込んでみよう。
    (2)式で、RCとEの値を入れて、各 t での ec(t ) の値を計算してグラフに曲線を書き入れる。実測の曲線とどのようなところが違うか見てみよう。
  2. ≦τでは電圧が急激に増加する。この時間領域では電荷がどんどん誘起され、大きな過渡電流が流れていることを意味する。
  3. ≧τでは電圧が平衡値に漸近する。これは過渡電流が微少になり、やがてゼロになることを意味する。
    つまり、周波数の高い交流電流ほどコンデンサ回路を流れ易い。
  4. 実測と理論曲線との違い。
    実験原理での計算はあくまでも回路が理想的に単純であることを仮定している。回路各部での抵抗、交流電流を流すときに生ずる回路各部での電界の変動に伴う電荷の誘起などが、実際の時定数を理論値よりも大きくする原因となる。また、(2)式において、E は完全に一定値ではないことは入力電圧の波形を観察することで知られる。さらに、実際の過渡現象が(2)式のような単純な関数形から少し外れていることが考えられる。

A実測時定数τとコンデンサー容量のグラフの考察

  1. 回路の時定数は、ほぼコンデンサー容量に比例する。
  2. 最少自乗法を用いてこの比例係数を計算する。この値は回路の抵抗値に対応するので確かめよう。
  3. 抵抗素子も別のものと取り替えて時定数を測定すれば、時定数の抵抗値に対する比例性も確認できる。

結論

抵抗+コンデンサー直列回路における時定数を測定したところ、抵抗値...に対してコンデンサー容量...の場合は時定数... ........と求められた。このことから、この回路の時定数はコンデンサー容量の大きさに比例して増加することが知られた。


実験お品書きに戻る