インピーダンス測定


交流電流に対する抵抗をインピーダンスと呼ぶ。直流電流の場合と異なり、交流電流に対してはコンデンサやコイルなどの素子が周波数に依存したインピーダンスを示す。

mpegビデオを見よう。

素子のインピーダンスは素子の両端の電圧が高くなるほど大きくなっている。ビデオでは素子の両端間電圧をオシロスコープで表示しながら、入力電圧の周波数を高くしていく様子を示す。

  1. 最初は抵抗2つを直列につないだだけの回路(RR回路)。
    周波数を高くしていっても素子両端間電圧は変わらない。つまり抵抗のインピーダンスは周波数に依存しない。
    R = 一定
  2. 次は抵抗にコンデンサを直列につないだ回路(RC回路)。
    コンデンサの両端間電圧は、周波数を上げるとともに減少する。実はコンデンサのインピーダンスは入力周波数に反比例する。
    ZCf -1
  3. 最後は抵抗にコイルを直列につないだ回路(RL回路)。
    コイルの両端間電圧は、周波数と共に増大する。実は、コイルのインピーダンスは入力周波数に比例する。
    ZLf +1

§1.実験の目的

抵抗-抵抗直列回路、抵抗-コンデンサ直列回路、および抵抗-コイル直列回路に交流電圧を加え、その周波数を変化させたときの各素子の交流抵抗(インピーダンス)を測定する。
 

§2.実験の原理

抵抗、コンデンサー、及びコイルの交流電流に対する抵抗を調べるために、基準抵抗と各々の素子とを直列につないだ回路を作る。この回路に交流電圧

INPE_1.GIF (317 バイト)

を加え、周波数 f を変えながら素子の両端の電圧を測定する。これにより、以下に個別に述べる関係式を用いて、各素子のインピーダンスを求めることができる。

@抵抗-抵抗直列回路

抵抗素子の内部を流れる電流(即ち自由電子の流れ)は、交流電流の場合にも直流電流と同じく、オームの法則に従い、瞬間瞬間の素子両端の電圧に比例する。この比例係数が抵抗値である。従って、抵抗素子の交流抵抗値は交流周波数には依存せず一定値である。基準抵抗を R0、測定用抵抗を R とすると、これらの直列回路の全抵抗は R0+R となるので、回路に流れる電流 i (t) は、

INPE_2.GIF (523 バイト)

となる。抵抗 R の両端の電圧 eR は、

INPE_3.GIF (573 バイト)

と得られる。従って、電圧最大値を ER と置けば、R は次の関係式で表わされる。

INPE_4.GIF (392 バイト)                 (1)

A抵抗−コンデンサー直列回路

コンデンサーに交流電圧を加えると、コンデンサーの極板には周期的に電荷が誘起される。電荷量の時間変化が即ち電流の大きさであるので、回路には周期的な電流が流れていることになる。このとき交流周波数が高いほど、静電誘導の時間変化が激しく、大きな電流が流れる。
コンデンサーの静電容量を C として、時刻 t にコンデンサーに蓄えられている電荷量を q (t ) とする。時刻 t に回路に流れている電流(即ち、電荷量の時間変化)は

INPE_5.GIF (317 バイト)

で与えられる。これを用いると、回路の方程式は、

 

INPE_6.GIF (646 バイト)

となる。これを q (t ) について解くと、

INPE_7.GIF (1032 バイト)


となって、電流 i (t ) は、


INPE_8.GIF (961 バイト)              ただし    INPE_9.GIF (502 バイト)

と書かれる。このとき、コンデンサーのみのインピーダンス ZC

INPE_CON.GIF (271 バイト)

である。そして、回路全体(抵抗+コンデンサー)のインピーダンスはINPE_10.GIF (292 バイト)になっている。上の式から周波数 f が高いほど電流 i (t ) が大きくなることが確かめられる。
さらに、コンデンサー両端の電圧 ec(t ) を計算してみよう。

INPE_11.GIF (1204 バイト)

ただし、INPE_12.GIF (436 バイト)  及び  INPE_13.GIF (486 バイト) である。

よって、RC直列回路のコンデンサーのインピーダンス Zc は、入力電圧、コンデンサー両端間電圧、及び基準抵抗値を測定することにより、次の関係式から算出される。

INPE_14.GIF (809 バイト)         (2)

入力電圧波形とコンデンサー両端間電圧波形との間には (π/2)-φ だけ位相のずれがある。 

B抵抗-コイル直列回路

コイルに電流を流すと磁場が発生する。この電流が交流電流であるときには、コイルの磁場も同じ周期で時間変化する。このときコイルには磁場の変化を妨げるような、電流の時間変化に比例した誘導電圧が生ずる。このため、入力交流周波数が大きいほど逆起電力が高くなり、結果的に電流が流れにくくなることが予想される。
コイルのインダクタンスを L とし、回路の方程式を書くと次のようになる。

INPE_15.GIF (635 バイト)


これを i (t ) について解くと次のようになる。

INPE_16.GIF (758 バイト)             ただし、     INPE_17.GIF (472 バイト)

ここで、コイルのみのインピーダンスはINPE_COI.GIF (213 バイト)であり、回路全体(抵抗+コイル)のインピーダンスはINPE_18.GIF (295 バイト)である。上式から、周波数 f が大きいほど回路に流れる電流は小さくなり、交流電流は流れにくくなることが確かめられる。コイルの端子電圧 eL(t ) は、

INPE_19.GIF (666 バイト)

ただし、    INPE_20.GIF (476 バイト)、    INPE_21.GIF (431 バイト)

となるので、コイルのインピーダンスは、入力電圧 E0 とコイルの電圧の最大値 EL と基準抵抗値 R0 を用いて以下のように表わすことができる。

INPE_22.GIF (812 バイト)        (3)

また、入力電圧とコイル両端間電圧との間には (π/2)-φ だけ位相のずれがある。

以上により、各回路において、入力電圧と各素子の端子電圧の最大値を測定すれば、各素子のインピーダンスを(1)(2)(3)式を用いて計算できる。入力電圧の周波数を変えながらこれらの測定を行うことにより、各素子のインピーダンスの周波数依存性を明らかにできる。


§3  実験方法

基準抵抗として10kΩの抵抗を用い、R0 = 10000Ωとする。入力電圧はオシレーターを用いて入力する。入力周波数、入力電圧 E0 及び端子電圧ER 、EC 、ELはデジタルオシロスコープの計測機能を利用して測定する。入力周波数は1kHzから100kHzまでの範囲とする。電圧値としてはピーク・トゥー・ピーク値を採用する。(レポートには必ず回路図を書いて説明すること)さらに、入力電圧と素子両端間電圧との位相のずれを確認するために、1kHzの場合での両波形の図をオシロスコープからプリンタに出力する。測定電圧値から各素子のインピーダンスの入力周波数依存性をグラフにまとめ、コンデンサ・コイルでは両対数プロットの直線の勾配を最少自乗法で算出する。


実験操作上のポイント

  1. 基準抵抗に10kΩの抵抗が入っていることを確認する。抵抗値は抵抗についているカラーコードと教科書のp.199にある付表から読み取る。
  2. 各素子ごとに必ず入力電圧を1度づつ測定すること。(周波数を変える毎に測定する必要はない)入力電圧は8.8V程度になるだろう。
  3. 電圧測定はVp-pと表示されているピーク・トゥー・ピーク値(波形の下端から上端までの幅)で測定する。コイル電圧の波形はノイズが多く自動計測が困難なので、波形をフリーズしてマニュアルで測定する。
  4. 周波数設定は、f =1.0, 1.5, 2.0, 3.0, 4.0, 5.0, 6.0, 7.0, 8.0, 9.0, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100 (kHz)とする。
  5. コンデンサとコイルでは、両対数グラフの傾きを最少自乗法で求める。
    ZCf -1 :両対数を取って傾きが -1
    ZLf +1  :両対数を取って傾きが +1
    ただし、高周波になるほど、これらの単純な関係から外れてインピーダンスは高めになる。これは、回路各部での電場の変動が激しくなるために、回路各部あるいは同軸ケーブル内で誘導起電力や電荷の誘起が効いてくるようになる。
  6. インピーダンスの理論値をグラフに書き入れて、実際の回路のインピーダンス測定値と比較しよう。

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