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自己相似性 

自己相似とは、図形の一部を拡大すると、他の部分、または全体と形が一致する性質であった。

自己相似な図形は大きく2つに分けることができる。第1は、一定の形を一定の比率で大きくしながらもとの形に付加していく成長の結果できてくるものである。成長によって増加した各々の部分 、これをノーモンと呼ぶ。第2は図形のどの部分をとっても、細部を拡大すると全体と同じ形になる、一様な自己相似性を持つもので、これをフラクタル(fractal)と呼ばれる。

1)ノーモンとは

このノーモンという概念は、古代ギリシャの哲学者・科学者であるアリストテレス(Aristoteles B.C.384-322)が考え出したのである。それは次のような、拡大しても形の変わらない図形の存在を示したことからはじまった。

下の図1aのように、正方形にL字型の部分を付加してできる図形も同じ正方形である。ギリシャの数学者であるユークリッド(Eucleidēs B.C.300頃)はこの概念を平行四辺形に拡張した(図1b)。

アレキサンドリアの数学者ヘロン(Heron 1世紀頃。三角形の面積を求める公式

等でよく知られる。)"任意の図形にある図形を付加したとき、もとの図形と相似の関係になるとき、付け加えた図形を「ノーモン(gnomon)」と定義"した。以下に、ダーシー・トムソンの「生物のかたち」にもとづいて、いくつかのノーモンの例を示そう。

図1.ノーモンの例

紙の寸法規格は、紙を長辺で2分の1してできた紙の縦横比率が、元の紙の縦横比率と同等になるように決められている(「類似」の節の「相似」の項参照)。

このとき、紙の長辺の長さと短辺の長さの比はである。このような縦横比率の紙は図2aのように組み合わせていくことによって、同じ縦横比の長方形が一定の拡大比でできていく。

即ち、

などと続く。矩形領域ABは矩形領域Aを倍に拡大して90°回転したもの。矩形領域ABCはABを倍に拡大して90°回転したものである。

このとき、例えばAに付加された長方形BはAのノーモンであり、ABに付加された長方形CはABのノーモンである。ただしこの例では、付加した長方形と元の長方形はどちらも互いのノーモンになっている。

図2.矩形のノーモン

長辺と短辺の長さの比がの場合を黄金分割比と呼ぶ。名刺の縦横サイズはこれに相当する。

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